こんにちは。
銘柄分析シリーズ第7回目の今回は、モーニングスター(4765)を取り上げてみたいと思います。読者の皆様の銘柄スクリーニングのご参考になれば幸いです。
銘柄概要
モーニングスター ウェブサイトより
モーニングスターは、SBI傘下で投資信託の格付けを中心とする金融・経済情報の提供、投資信託の運用、セミナーなどを行っている会社です。時価総額427億円と小さく、今後の成長に期待したい銘柄です。
「低金利の現況下、定期預金では資産を増やすことが出来ないので投資しましょう」と言うのが国から国民のメッセージです。「老後2000万円発言」もありました。NISA、つみたてNISA、iDeCoの制度整備などなど、「貯蓄から投資へ」は国策と言って良いですね。そこにピタッとはまるのがモーニングスターのビジネスです。投資業界では「国策には逆らうな」とは言われますが、裏を返せば「国策に乗っかれ」ばいい訳ですよね。日本の家計の金融資産は1900兆、そのうちの半分が未だ預貯金と言われています。その資金がNISAなど諸制度の後押しもあって本格的に投資性商品に流れ込むとすると、モーニングスターのビジネスは大きく成長する可能性を秘めているものと思われます。事業環境としては良好と言えます。加えて、利用者が増えるだけ利益が積み上がっていくストックビジネスなので、安定的な業績が期待できると考えています。
業績
売上、営業利益、当期純利益の推移です。売上、営業利益、当期純利益いずれも、直近は成長が鈍化している様にも見えますが、長期的に増加トレンドと言って良いかと思います。2020年はコロナ影響で営業利益が落ち込みましたが、当期利益は微増で着地。同社事業の1つであるセミナーが外出自粛の影響で開催できなかったことが主な要因です。2021年もコロナ影響で1Qは減収減益で始まりましたが、2Q以降は増益基調に戻っています。コロナ禍で投資を始めた人も増えたと聞きますし、今後の業績の伸びに期待したい所です。
SBI証券より
続いて、「稼ぐ力」を見る営業利益率とROEの推移です。営業利益率は概ね20%以上で推移しています。ROEは直近13%です。業態にもよりますが、ROE8~10%あれば合格ラインの所、なかなか高水準です。更に、ROEが長期的に良化トレンドにある点が非常に良いなと思います。稼ぐ力は高いと言えます。
SBI証券より
財務
自己資本比率は70%台です。やや低下傾向にありますが、40%以上あれば優良と言われる所、かなりの高水準です。昨年、借入を行っている様ですが、利益剰余金が有利子負債の額を上回っており(利益剰余金:44億円、有利子負債:20億円)、問題ないレベルだと思います。
キャッシュ・フローの推移です。買収など行ったため、ここ数年は投資CFが大きく、たびたびフリーCFがマイナスになっています。成長期の会社ではこの様なCFもあるかと思いますが、今後の推移はきっちりと見ていきたい所です。
SBI証券より
株主還元
同社資料から、具体的な配当方針(配当性向〇%の様に数値化されたもの)を見つけることはできませんでした。
配当実績は、以下の通り11期連続の増配中です。配当金は11年で8倍以上に増加しており素晴らしいですね。一方で、配当性向は高止まりしており、2020年は何と101%と利益以上の配当を出していることになります。増収、増益を続けていますが、それ以上のペースで増配を行ってきています。業績成長が止まれば増配ストップ、最悪の場合は減配もあり得る水準であることには注意が必要です。
モーニングスター ウェブサイトより
株主優待
株式新聞Web版の無料購読クーポンおよび暗号資産XRP(リップル)の株主優待があります。株式新聞の優待は3月末権利です。100株保有で半年間、500株保有で1年間、購読無料になります。暗号資産の優待ですが、19年9月:30XRP、20年3月:50XRP、20年9月:50XRPと、ここ最近は中間・期末の年2回出しており、拡充されています。今後も優待が続くとは限りませんが、配当と併せて株主還元に積極的な銘柄と言えます。
株価指標
株価:477円(21年2月1日終値)
PER:34.32倍
PBR:4.37倍
配当:15.5円(配当利回り:3.25%)
株探より
PER、PBRともに割高です。配当利回りはまずまず高配当の部類です。株価推移の方は、緩やかに右肩上がりです。コロナショックから反発して昨年10月には13年4月の高値を抜いてきており、ここから本格的な上昇トレンドに入るのかどうかと言った所かなと思います。5万円以下と少額で投資できる点は、初心者の方でも買いやすい銘柄かなと思います。
総評
直近の成長は鈍化している様に見えるものの、長期で見ると増収増益トレンドにあります。営業利益率、ROEと言った「稼ぐ力」を表す指標も高いです。「貯蓄から投資へ」の国策に合致したビジネスであり、今後の成長にも期待できると思います。
財務面は良好です。自己資本比率が低下傾向にある所は注視していく必要はありますが、倒産リスクは低いと言えます。
株主還元は11期連続増配中で株主優待も実施しており積極的だと思います。配当利回りも3%超とまずまずの高配当です。
ただ、配当性向が高止まりしており、今後業績が落ち込めば、増配ストップ、あるいは減配のリスクがあることは認識しておくべきかと思います。また、株価指標的には割高なので、すぐには株価上昇を期待しにくいのかなと思います。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
最後までご覧頂き有難うございました。
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