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【銘柄分析】第8回 日本たばこ産業(2914)

こんにちは。

銘柄分析シリーズ第8回目は、高配当株と言えば第一に名前が挙がる、JTこと日本たばこ産業(2914)を取り上げてみたいと思います。銘柄コードは2914=「ニクイヨ」で覚えやすいですね。本記事は2021年2月6日に執筆していますが、JTは2月9日に20年12月期の本決算発表を控えており、配当がどうなるか、今後の業績見通しがどうなるか注目される所です。JTを既に保有されている方、これから新たにJTへの投資をお考えの方のご参考になれば幸いです。

銘柄概要

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日本たばこ産業(JT)のロゴ

日本たばこ産業(JT)は、社名の通りたばこ事業を中核にしています。時価総額4兆円超えの国内有数の大企業であり、世界4大たばこメーカーの一角をなすグローバル企業でもあります。たばこ以外では、医薬品や食品などの事業も行っています。筆頭株主は財務大臣で、たばこの税収に加えてJTからの配当金が国に入ります。政府にとって、JTは金のなる木なんですね。

日本人のたばこ離れが進んでおり、国内たばこ事業は縮小傾向にあります。ただ、JTは(意外と言っては失礼ですが)M&A巧者であり、海外たばこ事業をM&Aにより拡大しています。2019年の売上は国内が5,689億円、海外が1兆2,530億円となっており、海外比率が高いグローバル企業です。海外比率が高いが故に、業績は為替の影響を受けます。ここ最近はネガティブな為替影響が業績を下押ししています。

事業特性についてです。たばこって、不景気だからと言って止める人は少ないと思います。僕は数年前に禁煙しましたが、やはり経済的な理由では無く健康面の理由から。故にJTは前述の為替影響はあるものの、需要ベースではディフェンシブな側面があると思っています。加えて、たばこは寡占事業であり、常習性があるので、消費者にとって値上げがある程度許容される事業です。事実、増税も含めて段階的に値上げされてきました。僕が学生の頃、セブンスターは1箱250円だった記憶があります。1箱510円の時に禁煙しましたが、今では560円になっているみたいです。脱線しましたが、値上げができる(許容される)ビジネスは、価格競争に巻き込まれていないと言う意味で投資家から見ると非常に良いビジネスと言えます。

一方で、ESG(環境・社会・企業投資)を重視する運用機関は、たばこ銘柄からの投資撤退を公言しています。JTもそうです。運用大手の資金が入ってこない(抜けていく)と言うことは、株価の上昇は期待しにいですね。高配当利回りの陰に、やはりネガティブな側面があります。この辺りの事情を知った上で、冷静に投資判断をされるべきかと思います。

業績

売上、営業利益、当期純利益の推移です。売上はほぼ横ばい、利益は2014年をピークに低下傾向にあります。たばこ離れによる国内事業の縮小に加えてネガティブな為替影響と直近の事業環境は厳しいですね。一番の懸念点は、トップライン(売上)が伸びていないこと。利益はコスト削減等によって改善可能です。一方で、トップラインが伸び悩んでいると言うことは、顧客が離れていっているか、顧客単価が低下していることを意味しています。f:id:loveyuyu:20210206230307p:plain

SBI証券より

営業利益率とROEの推移です。業績と同じく徐々に低下しているのが気になる所ですが、直近でも営業利益率22%、ROE12%を超えており、「稼ぐ力」は高いと言えます。価格競争に巻き込まれない寡占事業だからこそ、なせる業ですね。ただし、今後の動向に注意が必要かなと思います。

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SBI証券より

 

財務

自己資本比率はは50%前後で推移しています。40%以上あれば優良と言われていますので、合格ラインです。また、有利子負債(1億円)>現金等(3.5億円)ですので好財務ですね。

以下はキャッシュ・フローの推移です。2016年を除いては、営業CFが投資CFを上回っています。営業CFは毎年プラス、フリーCFも2016年を除いてはプラスで推移しており良いですね。理想を言えば、営業CFと投資CFのバランスが2015年以前の様な感じに戻れば良いかなと思いますが、近年は投資CFが大きくなっていますね。この辺りは今後の推移を見ていきたい所です。

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SBI証券より  

株主還元

「1株当たり配当金の安定/継続的な成長」を基本方針としています。具体的な数値目標は同社資料から見つけることができませんでした。前述の通り為替のネガティブな影響を受けている訳ですが、同社方針としては「為替一定調整後営業利益の成長率の見通しを基本としつつ、当期利益の水準も勘案」としています。為替影響による業績の凹みはある程度考慮されると捉えることが出来るかと思います。

配当実績です。業績悪化で残念ながら、昨年で16期続いた増配はストップしました。減配は免れたものの、予想ベースで配当性向は90%と非常に高く、減配も意識される水準です。

株主還元に積極的な会社ではありますが、今の配当水準が今後も継続できるのか、動向は注意したい所です。f:id:loveyuyu:20210207221050p:plain

SBI証券より

株主優待

優待抜きにしても投資したい銘柄をピックアップしたいので、株主優待は分析対象とはしていませんが、おまけとして記載しておきます。

JTの株主優待は、12月末権利で同社子会社であるテーブルマークの食品(レンジでチンするタイプの米やカップラーメン)が貰えます。100株保有で2,500円相当になります。200株、1000株、2000株と保有株数に応じて貰える商品の金額が異なります。詳しくは、以下のURLからご確認下さい。なお、1年以上の継続保有が必要ですのでご注意下さい

https://www.jti.co.jp/investors/stock/privilege/index.html


株価指標

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株価:2,140円(2021年2月5日終値)
PER:12.25倍
PBR:1.49倍
配当:154円(配当利回り:7.2%)

PER的には割安です。配当利回りは、かなりの高水準です。この利回りはJTだからなせる業と言えると思います。株価はずっと右肩下がりです。長期で保有するには適さないと思いつつ、僕も100株だけ保有しています。減配が無ければ買い増しもありかと思いますが、見極めが難しいですね。

総評

たばこと言う寡占事業かつ利益率が高いビジネスを保有してる点は特筆すべきストロングポイントです。営業利益率、ROEと言った「稼ぐ力」を表す指標も高いです。財務面も良好です。

懸念点は、業績や「稼ぐ力」、株価が下降トレンドにあること、配当性向が高止まりしており減配リスクがあることです。

 

以上、ご参考になりましたら幸いです。

最後までご覧頂き有難うございました。