三協フロンテアHPより
こんにちは。
銘柄分析第17回目の今回は、三協フロンテア(9639)を取り上げてみたいと思います。皆様の銘柄スクリーニングのご参考になれば幸いです。
はじめに
本シリーズは長期投資に適していると自分が思う銘柄をピックアップして紹介しようと始めたものです。長期投資に適した銘柄の特徴としては、以下の点を考慮しています。
- 長期的に業績(売上、利益)が伸びている
- 長期的に株価が伸びている(10年チャートが右肩上がり
- 長期的に増配トレンド(減配していない)
- 稼ぐ力(営業利益率、ROE)が高い、あるいは改善傾向にある
- 財務(自己資本比率、D/E等)が良い、あるいは改善傾向にある
- 平常時は営業CF>>投資CF(特に設備投資が少ない)
- 利益成長率に対してPERが低い
- 参入障壁が高かったり安定した収益を上げ続けられるビジネスモデル
- 過去のトレンドが今後も長期的に続きそう
もちろん、すべてを満たす銘柄は多くないですが、総合的に見て投資対象として適しているかどうかを判断しています。なお、以前は「割高過ぎない」としていた指標ですが、今回から「利益成長率に対してPERが低い」としました。参考にしたのはダイヤモンド・ザイ2021年7月号のある投資家さんの手法。以下の記事で紹介していますので、よろしければご覧下さい。
銘柄概要
ユニットハウス利用例 三協フロンテアHPより
三協フロンテアは、主力事業として仮説住宅や仮説事務所等で使用されるユニットハウスやレンタル収納スペースであるトランクルームの製造・販売・レンタルを行う会社です。上の写真は会社事務所としての利用例です。おしゃれな外観ですね。
他では不動産、パーキング、ちょっと面白い事業として植物工場なんかも行っています。植物工場は駐車場1台のスペースに設置可能な「やさいばこ」という商品を開発しており、飲食店などへの展開が期待されます。
飲食店などへも設置可能な小型植物工場「やさいばこ」 三協フロンテアHPより
ユニットハウスの特徴は、施工期間の短さ、増減築や移設が可能と言ったフレキシビリティの高さ、リユース性。また、知りませんでしたが耐震性も高いんですね。コロナ禍で加速した「密から疎へ」のシフト。即ちソーシャルディスタンス、テレワークの普及を始めとした働き方・暮らし方の変化は同社ビジネスに追い風になると思われます。加えて災害に伴う仮説住宅、コロナ感染に伴う発熱外来、PCR検査室、ワクチン接種会場などの需要も増えている様です。確かに、この様な緊急性が高く一時的な施設に関しては、施工期間の短さとリユース性が生きてきまね。
ユニットハウスの特徴 三協フロンテアHPより
業績
業績推移を見ていきます。
売上は8期連続の増収、7期連続の増益で、22.3期も増収増益基調が継続する見込みです。良いですね。
三協フロンテア_業績推移 SBI証券より
「稼ぐ力」を表す営業利益率とROEの推移です。営業利益率は安定して二ケタで推移しています。ROEも10~14%で安定推移しており収益性はまずまずの高水準です。とりわけ14年以降は業績の伸びと連動して営業利益率、ROEともに改善傾向にある点が良いかなと思います。
三協フロンテア_収益性 SBI証券より
財務
自己資本比率は40~50%台で安定的に推移しています。40%以上あれば優良と言われるので、財務面で大きな問題は無さそうです。
キャッシュ・フローの推移です。直近は営業CF、フリーCFともにプラス、有利子負債を圧縮してきており財務基盤の強化が進んでいます。ただし、かつて業績が低迷していた頃は営業CFがマイナス、フリーCFもマイナスで推移していた時期もあった様です。リース事業も行っている影響かもしれませんが、フリーCFが数年マイナスで推移していたことはリスク要因として認識しておきたい所です。
三協フロンテア_CF SBI証券より
株主還元
配当方針は、「中期的に目標配当性向35%」としています。
配当実績ですが、6期連続で増配中です。リーマンショック時には業績が落ち込み、2010年に減配しましたが、それ以降は減配することなく累進配当が続いています。財務強化に伴い、増配し始めた形でしょう。
三協フロンテア_配当 BI証券より
株価指標
三協フロンテアの_株価推移(10年チャート) 株探より
株価:4,195円(2021年7月19日終値)
配当:140円(配当利回り:3.34%)
PER:8.48倍
PBR:1.18倍
利益成長率:9.92%(1年)、15.16%(3年)、14.93%(5年)
株価は長期的に綺麗な右肩上がりで素晴らしいです。
直近の利益成長率ですが、年率9〜15%とまずまずの高成長です。仮に15%の成長が今後5年間続くとしたら利益は2倍、10%だとしても1.6倍に増えます。これだけの成長性があってPER8倍台なら割安水準と言って良いでしょう。配当利回りも3%以上で高配当の部類ですし、更なる増配余地はまだ残されていると思われます。
総評
業績、収益性が高く財務面も良好です。収益性、財務面は徐々に改善傾向にある点も良い所です。ただし、過去13年~15年にわたってフリーCFがマイナスで推移していた時期があり、その点は注意が必要です。
株主還元についても6期連続増配中、現状の配当利回りは3.3%と高配当の部類です。一方、配当性向は10%台と低くまだまだ増配余地があることを考えると、将来的に更に高配当化することが期待できます。
株価は長期的に綺麗な右肩上がりです。直近5年は年率15%程度の成長を続けている反面、PERは8倍台と割安水準にあり、クオリティの高いバリューグロース株と言えそうです。
以上、三協フロンテアの銘柄分析でした。
最後までご覧頂き有難うございました。
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