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本の感想 「くらべる!決算書図鑑」

 

「くらべる!決算書図鑑」を読んでみたので感想

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こんにちは。

今回は、最近読んだ本の感想になります。紹介するのは、以下の本です。

 

「くらべる!決算書図鑑」田中道昭 監修

くらべる! 決算書図鑑 比較でわかる同業他社の意外な戦略&儲けのしくみ | 田中 道昭 |本 | 通販 | Amazon

 

著者(監修)はテレ東・WBSなどメディアにも出演する田中道昭・立教大学ビジネススクール教授。企業戦略、マーケティング戦略、企業分析等が専門。

本書は財務三表やファイナンス、企業分析を学ぶ初心者向けの書籍です。GAFAM、テスラに代表される米国巨大テック企業、トヨタ自動車、ソニー、ファーストリテイリング(ユニクロ)など日本の主要企業が数多く登場します。親しみのある企業が多く出てきて読み進めやすい点は初心者に配慮されてのことかと思いました。タイトルに「くらべる!」とある通り、業種の近い企業どうしで経営指標を比較し、パッと見で分かりやすく図解されていました。類書も数多く出ていますが、書店で見比べてみて、図がカラフルで見易そうな本書を選びました。

PL(損益計算書)や事業構成の比較とビジネスモデルの概略の紹介(企業間での比較)がメインとなっており、解説がもう少し充実していた方が良かったかな、と言うのが正直な感想です。とは言えパラパラめくってビジュアル的に企業を比較することができ、簡単に読めつつも幾つかの気付きを得ることもできました。また、企業分析の手法としてROAマップと言うものが紹介されており、多くの企業をざっくりと比較するのに便利だなと思いました。以下で少し、ROAマップについて触れておきたいと思います。

ROAマップ

ROAマップは、ROA(総資産利益率)を売上高営業利益率総資産回転率に分解して二次元分布図上に数値をプロットしたものです。

 

ROAとは?

総資産利益率(ROA=Return on Assets)。以下式の通り、企業の総資産に対する利益率(通常は100倍して%で表す)を求めたもので、収益性と資本効率を見る指標になります。少ない資産で大きく稼いでいる、即ちROAが大きい方が一般的に評価が高くなります。

ROA = 営業利益(※) ÷ 総資産

※ROAの分子には経常利益を使うのが一般的かと思っていました(少なくともビジネス会計検定3級ではそう勉強しました)が、本書では営業利益が用いられています。

 

ROA分解とは?

ROAの計算式は、以下の様に変換(分解)できます。

ROA = 売上高営業利益率 × 総資産回転率

 

右辺はそれぞれ以下の様に定義(分解)されます。

売上高営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高

総資産回転率 = 売上高 ÷ 総資産

 

よって

ROA = (営業利益 ÷ 売上高) × (売上高 ÷ 総資産)

となり、それぞれ分母、分子にある売上高を相殺するとROAの定義(ROA = 営業利益 ÷ 総資産)に戻り、上記の分解が成立することが分かります。

 

繰り返しになりますが、ROAマップはROA(総資産利益率)を売上高営業利益率総資産回転率に分解して二次元分布図上に数値をプロットしたものです。売上高営業利益率は収益性、総資産回転率は効率性を表す指標になり、どちらも数値が大きい程良いことになります。以下、雑な写真ですが本書に掲載されていたROAマップの例です。

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上の写真では、GAFAM各社のROAを分解して縦軸に営業利益率、横軸に総資産回転率を取り、それぞれプロットしたものです。この図1枚で、GAFAM各社の収益性と効率性を視覚的に比較することができます。まず、Microsoft、Meta(Facebook)の利益率の高さに目が行きます。また、Amazonは利益率は低いけど回転率で稼いでいる(少ない資産で多く稼ぐ)企業と見て取れますね。このROAマップを使ってどの様に分析するのかは本書をご覧頂ければと思いますが、これを利用することで複数企業の収益性と効率性の違いを一目で比較できることができます。また、同一企業の年度ごとの数値をプロットすることで時系列変化を追うことも可能です(GAFAM各社の時系列のROAマップも掲載がありました)。

 

なお、ROAとよく似た指標としてROE(Return on Equity=自己資本利益率)、ROIC(Return on Invested Capital=投下資本利益率)があります。

 

ROE、ROICとは?

ROE、ROICは以下の式で表されます。

ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本

ROIC =調整後営業利益 ÷ 投下資本

 

  • 分母が自己資本に限定されるROEは、負債によって調達した投下資本が考慮されていない(負債を増やす=自己資本の割合を減らすことでROEが高くなる)
  • 有利子負債を含めた投下資本(インプット)に対する利益を見るROICは、収益性・効率性を計る指標としてより正確だが、計算がやや面倒

 

各指標それぞれメリット・デメリットあります。僕はROAよりもROE、ROICを銘柄分析に使ってきましたが、本書の様にROAを使うことで分析は容易になりますね(営業利益率、総資産回転率ともに簡単に調べることが可能なため)。

 

なお、ROE、ROAともに大抵の銘柄分析ツールで検索すれば調べられます。ROICを調べられる分析ツールはまだ少ない様に思いますが、マネックス証券の銘柄スカウターなら可能です。メインで使っているSBI証券ではROIC未対応なので、その点マネックス証券は重宝しています。マネックス証券に口座開設する必要がありますが、無料でできますので、ご興味ある方は以下URLからどうぞ。

日本株銘柄分析ツール マネックス銘柄スカウター | 情報ツール | 投資情報 | マネックス証券 (monex.co.jp)

本書で分析されている企業の例

全部は書けませんが、興味を持った所では以下の様な企業が分析・比較されていました。この中で「おっ!」と思ったのは、ほとんど同じ100均チェーンと言う業態にもかかわらず、セリアはキャンドゥに比べて営業利益率が非常に高いこと。これは始めて知りました。調べてみると、(キャンドゥにワッツも加えた)同業他社と比較してセリアの稼ぐ力は優秀ですね。何故そうなっているのか、ビジネスモデルの違いも含めて詳しく解説されているともっと良かったですね。

 

  • GAFAM
  • ウォルマート vs コストコ
  • Amazon vs 楽天
  • 積水ハウス vs オープンハウス
  • ファーストリテイリング vs ワークマン
  • くら寿司 vs スシロー
  • イオン vs セブン&アイ
  • セリア vs キャンドゥ
  • ソニー vs 任天堂

 

大企業や身近な小売業が多く取り上げられており、初心者でも親しみやすく読み進められるのではないかと思いました。ただ、解説がサラッとし過ぎており情報量としては多くありませんので、バリバリ勉強したいと思って読むと期待外れかもしれません。パラパラ眺めて楽しむには丁度いい本かなとは思います。

 

最後までご覧頂き有難うございました。

 

今回紹介した本です。

 

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