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【銘柄分析】全国保証(7164)

 

投資先でもある全国保証(7164)の銘柄分析をしてみました。読者の皆様の銘柄スクリーニングのご参考になれば幸いです。1年以上前、浅い浅い知識で書いた記事のアップデートになります。当時よりは少しまともな分析になっていれば良いかなと思います。

銘柄分析は以下にまとめています。最近は更新できていませんが、ボチボチ更新していきたいと思います。

www.loveyuyu-dividend.com

 

全国保証について

ざっくりとした事業内容、投資指標等は以下の通りです。

  • 独立系の住宅ローン(フラット35)保証会社(その他金融業)
  • 保証債務残高15兆円、保有契約件数80万件で国内トップクラス(独立系ではトップ)
  • 株価:4,500円(22.08.19終値)
  • 時価総額:3,099億円
  • PER:10.5倍
  • 配当利回り:3.29%(9期連続増配中)

 

以下は全国保証の事業概念図です。

全国保証_決算説明資料より

 

  • 全国保証が住宅ローン借入人の連帯保証人になる
  • 借入人から保証料(手数料)を受け取る
  • 借入人が返済不能になった場合は同社が金融機関に対して返済を行う(代位弁済)

 

借入人にとっては連帯保証人を探す負担の軽減。金融機関にとってみれば(個人の連帯保証人と比べて)信用力懸念、回収不能リスクの回避。これが同社の提供価値になります。収益は定期的に計上される保証料で、保証債務残高の積み上げに応じて増加していく典型的なストックビジネスです。

住宅ローン市場は大きな成長は見込めませんが、180兆円もの巨大市場です。同社の保証債務残高は15兆円なので、シェアアップによる業績拡大の可能性は十分に残っています。同業他社のほとんどは金融機関の系列会社で、独立系の同社にとってはガチンコの競合に当たらず。さらに最近は、金融機関のリスク分散の観点(ローンを貸出する金融機関と保証会社が同じ系列であればリスク分散にならない!)から当社への引き受けの相談が増えているとのこと。事実、その様な会社を子会社化して事業規模を拡大しています。

事業上のリスクは、借入人が返済不能になることによる代位弁済の増加。ですが、15兆円の保証債務残高に対して発生する代位弁済の金額は124億円/年。直近は0.1%以下と低水準で推移しています。また、仮に代位弁済したとしても担保物件の売却等により70%~80%を回収しています。現状では問題ないレベルと見ていますが、ここ数値の推移は常にチェックしておきたい所。

業績

まずは業績から見ていきます。以下は損益計算書(PL)の推移です。

マネックス証券より

続いて利益率とROEの推移です。

マネックス証券より

 

業績の特徴は以下の通り。

  • 売上、営業利益ともに綺麗な右肩上がり。過去5年の年平均成長率(CAGR)は、売上6.3%、営業利益7.0%、最終利益7.3%。72の法則(※)に当てはめれば、これまでの成長が今後も続くと仮定して9.86年で最終利益は2倍になる。
  • 営業利益率は驚異の81%!「信用」が武器のため、PL上のコスト(売上原価、販管費)はかなり低く抑えられている
  • 金融業のため売上に対する貸借対照表(BS)の規模が大きく、総資産回転率0.12%と低いもののROEは16%と高水準。
72の法則

複利運用において元本を倍にする期間(年数)を簡単に計算できる法則

72 ÷ 年間運用利回り(CAGR) =2倍になる年数

財務

続いて貸借対照表(BS)、直近5年間の推移です。以下、構成比で表示。

マネックス証券より

 

負債・純資産(資金の調達サイド)から見ていきます。

  • 負債・純資産合計4,158億円のうち、1,868億円が前受収益および長期前受収益、1,848億円が純資産。
  • 直近の自己資本比率は44%で、18.3期の37%から徐々に増加。純資産の大半は利益剰余金で同社が順調に利益を積み上げてきたことが分かる。保証会社としての信用維持・向上のために必要な資本として、1年間に発生する損失見込み額の15倍(平均的な住宅ローン返済期間が15年のため)を必要資本として確保する方針。
  • 48%を占める固定負債の大半は長期前受収益。これは顧客から保証料として受け取った金額のうち、1年を超えて売上計上されるもの。
  • 流動負債の半分以上は前受収益で、保証料として受け取った金額のうち1年以内に売上計上されるもの。

 

資産(資金の運用サイド)です。

  • 資産合計4,158億円のうち、現金・預金が1,690億円、投資その他の資産が2,291億円。
  • 現金・預金は1,690億円(41%)。1年間に発生する代位弁済金額が100億円ぐらいなので盤石のキャッシュ。同社の武器である「信用」を維持するため、BS上では(それだけでは価値を生まない)多額のキャッシュが計上されている
  • 年々増加傾向にあるのが投資その他の資産で、18.3期の37%⇒22.3期55%と大きく増加している。その大半は投資有価証券で、国債・社債・住宅ローン担保証券など1,973億円。これにより、PL上では営業外利益が増加する。

 

特徴としては、無利子で調達して返済の必要も無い資金(前受収益および長期前受収益)が大量にあること。これに事業活動によって得た資金(利益剰余金)が加わって盤石の財務と言えます。運用サイドでは、保証会社として必要なキャッシュを確保しつつ、残りはM&Aによる子会社獲得(規模拡大)や投資有価証券で運用している構図。まあ固いですね。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの推移です。

マネックス証券より

 

営業CFは安定的にプラスで推移。長期的に見て営業CFが増加傾向にあるのも良いですね。投資CFに関しては、事業継続のために多額の設備投資などは必要無く、大半が投資有価証券の取得によるものです。現金が積み上がっていくビジネスですね。安定感ハンパない。

株主還元

最後に株主還元です。

全国保証_決算説明資料より

 

上場来10期連続の増配を計画しています。23.3期の計画ベースで、ここ10年で年間配当は6.9倍に増えています。配当性向は徐々に高まっていますが、まだまだ30%台と増配余地がある水準と言えそうです。

まとめ

以下、全国保証の個人的な印象です(★が多い方が好評価)

成長性:★★★☆☆

収益性:★★★★☆

安定性:★★★★★

 

急激な成長は見込めませんが、インカムゲイン狙いで長期保有するにはもってこいの銘柄ではないでしょうか。

以上、ご参考になりましたら幸いです。