弱小投資家が経済的自由を目指すブログ

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【銘柄分析】任天堂(7974)

 

今回は任天堂(7974)の銘柄分析をしてみました。

今の株価で1単元(100株)600万円超の値がさ株で弱小投資家にとっては手出ししづらい銘柄でしたが、2022年10月1日付けで1:10に分割され1単元60万円強と比較的買い易い水準になったこともあり取り上げてみました。1株単位の単元未満株なら6,000円ちょっとから投資可能ですね。読者の皆様の銘柄スクリーニングのご参考になれば幸いです。

 

ボチボチ更新中の銘柄分析は以下にまとめています。

www.loveyuyu-dividend.com

 

任天堂について

事業内容は説明不要かと思いますが、投資指標と併せて簡単に記載します。

  • Nintendo switchはじめ家庭用ゲームの世界的メーカー(その他製品)
  • マリオ、ゼルダの伝説、ポケモン、あつ森などなどヒット作多数
  • 株価:61,320円(22.09.22終値)
  • 時価総額:7.4兆円
  • PER:16.5倍
  • 配当利回り:2.45%

 

1889年創業と歴史は古く、花札やトランプの製造・販売を祖業とする当社。1983年に発売したファミコン(ファミリーコンピューター)、1985年発売のスーパーマリオブラザーズの大ヒットをきっかけに世界的に認知される様になります。今ではTOPIXコア30を構成する日本を代表する大型企業です。「娯楽を通じて人々を笑顔にする」ことが当社の提供価値。スプラトゥーン3のヒットで直近の業績にも期待が持てそうですね。

 

スーパーマリオを始め、強力な知的財産権(IP)を多数保有しています。IPは公に認められたビジネス上の独占・排他権であり、取得することで参入障壁を築くことができます。また発明に与えられる特許権ではなく、ブランドや著作物に与えられる商標権・著作権を多数保有していることも競争優位の源泉と言えます。特許権は原則として出願から20年で失効するのに対し、商標権は(企業側の努力は必要ながら)半永久的に更新することが可能だからです。著作権も権利期間が長いです。ファミコンに使われていた技術(発明)は技術の進歩とともに陳腐化しましたが、スーパーマリオは何十年経っても変わらず任天堂の看板キャラクターですよね。

 

なお、当社は競争の激しいゲーム産業において持続的に成長するために、「任天堂IPに触れる人口の拡大」を基本戦略としており、ゲーム機のみならずスマホ、グッズ、テーマパークなど様々な事業を展開しています。

業績

まずは業績から見ていきます。以下は損益計算書(PL)の推移です。

マネックス証券より

続いて利益率とROEの推移です。

マネックス証券より

 

業績の特徴は以下の通り。

  • 2012年~2014年まで営業赤字だった様に業績の振れ幅が非常に大きい。直近は好調もやや下落傾向。
  • 直近5年の年平均成長率(CAGR)は、売上28.2%、営業利益82.4%。集計期間が業績低迷期からのV字回復期間に当たるためハイパーグロース株並みのCAGR。
  • 営業利益率、ROEも振れ幅が大きい。直近は営業利益率35.0%、ROE24.2%とかなり優秀な水準。
 
2012年〜2017年まで5年間にもわたって業績が低迷している様に、ゲーム事業は好不況やヒット作の有無によって業績が大きく上下することが見て取れます。事業リスク(業績の振れ幅)は高いと言えますね。直近でこそ大ヒット作を連続的に創出できていますが、ブームがいつまで続くのか、今後も連続的にブームを作り出して行けるのか注視が必要と言えそうです。なお、直近ではサブスク(月額課金制)モデルの収益源を確保しています。顧客の囲い込み、安定したストック収入の確保に動いてきていると言えます。

財務

続いて貸借対照表(BS)、直近5年間の推移です。以下、構成比で表示。

マネックス証券より

 

負債・純資産(資金の調達サイド)から見ていきます。

  • 自己資本比率は80%前後で安定推移。大半が利益剰余金で、きっちりと利益を積み上げてきたことが分かる
  • 有利子負債ゼロ(=無借金経営)。

 

資産(資金の運用サイド)です。

  • 資産の中で最も多いのが現金預金で全体の45%。過去5年を見ても40%台後半で推移しているキャッシュリッチ企業。
  • 現金預金に次いで多いのが有価証券で19.0%。容易に売却(現金化)できる運用資金で、こちらも流動資産。流動比率(流動資産÷流動負債×100)は393%と鉄壁の財務安定性性を誇る。
  • 工場(土地・建物、機械等)を保有しないファブレス企業のため、有形固定資産は3%と製造業にしては極めて低い。

 

自己資本が厚くキャッシュリッチで鉄壁の財務安定性が特徴です。PL推移で見てきた様に事業リスクは高いため、事業継続のために必要な財務基盤(キャッシュの厚さ)を確保していると言えそうです。ファブレス型のビジネスモデルを採用して固定費を削減することで業績低迷時に対する耐性を高めていると思います。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの推移です。

マネックス証券より

 

  • 直近は営業CFの伸びが加速している様に見えるが、2012年~2014年は営業CFがマイナスで推移。
  • 投資CFはプラスマイナスまちまち。直近は有価証券の売買や定期預金の預入/払戻によるマイナス。
  • 財務CFはマイナス。直近は配当金の支払いが大半。

 

営業CFは安定しませんね。現金・現金同等物も2008年~2016年まで減り続けています。当社が無借金・キャッシュリッチ経営を行っているのも納得ですね。

株主還元

株主還元です。

マネックス証券より

 

連結配当性向50%を目安とする方針です。長期的には大きく増えていますが、業績連動のため減配もありますね。

まとめ

以下、任天堂の個人的な印象です(★が多い方が好評価)

成長性:★★★☆☆

収益性:★★★★☆

安定性:★☆☆☆☆

 

日本を代表する大型株ですが、業績の振れ幅が大きく長期投資の対象としては難易度が高いと思いました。業績(株価)低迷時に買って長期保有する、業績(株価)好調時にトレンドフォローする。いずれにしてもセンスや握力・胆力が必要になりそうです。短期的な投資利益を考えず、1株ずつコツコツが奏功するのかもしれませんね。

 

以上、ご参考になりましたら幸いです。