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【銘柄分析】積水ハウス(1928)

 

今回は積水ハウス(1928)の銘柄分析です。

高配当株投資ではお馴染みですが自分はまだ保有できておらず、「今年こそは」投資したいと考えている銘柄です。

 

ボチボチ更新中の銘柄分析の記事は以下にまとめてありますので、よろしければご覧下さい。

www.loveyuyu-dividend.com

 

積水ハウスについて

まずは事業内容、投資指標など簡単に。

  • 国内トップ級のハウスメーカー(建設業)
  • 戸建のみならず賃貸、不動産フィー、リフォームなど幅広い事業を行う。米国をはじめとする国際事業も拡大中
  • 株価:2,333.5円(22.12.30終値)
  • 時価総額:1兆5,977億円
  • PER:9.0倍(過去平均PER:10.3倍)
  • 配当利回り:4.46%

 

言わずと知れたハウスメーカー大手で時価総額1.6兆円の大企業です。

戸建住宅では同業の大和ハウス工業と国内首位級の販売戸数、売上高を競います。高級路線の注文住宅が中心。個人的には同社の注文住宅はややオーバースペックと感じるものの憧れはありますね。住宅展示場で見学したこともありますが、確かに品質は良いと感じました。

戸建住宅のイメージが強いですが、賃貸、不動産フィー、リフォームなどビジネス領域(収益源)は分散されています。以下の図は統合報告書からの引用ですが、意外にも(?)ストック型ビジネスの不動産フィー事業が売上構成比としては最大の様です。中期経営計画によると、今後はストック型ビジネスと国際ビジネスを伸ばしていく方針。22年7月にはテキサス州の住宅会社を買収、米国南部進出への布石を打ちました。

積水ハウス「Value Book 2022」より

 

セグメント毎の売上構成比の昨年との比較(21.1期⇒22.1期)は以下の通り。

請負型(緑):40.3%⇒38.6%(-1.7)

ストック型(青):28.6%⇒28.6%(±0)

開発型(赤):13.1%⇒14.9%(+1.8)

国際(黄):15.1⇒15.0(-0.1)

 

業績

業績から見ていきます。以下は損益計算書(PL)の推移です。

マネックス証券より

続いて営業利益率とROEの推移です。

マネックス証券より

 

業績の特徴は以下の通り。

  • 売上、営業利益とも長期的に増加トレンド。ただし、サブプライムローン危機~リーマンショックの影響による住宅市場の悪化により2008年~2010年は業績が低迷、2010年には営業赤字に陥っている。
  • 直近5年の年平均成長率(CAGR)は、売上5.0%、営業利益4.6%、最終利益4.8%。72の法則に当てはめると、この成長が今後も続くと仮定して15年後には最終利益は2倍になる計算。
  • 営業利益率8.9%、ROE11.0%で正直もう少し欲しい所だが、緩やかながら長期的に良化傾向にあるのは良い。
 
過去には数年にわたって業績低迷した様に景気敏感と言えそうですが、ここ10年業績は伸びています。コロナ禍の影響を最も受けたと思われる21.1期は減益になっていますが、減益幅としては小さく収まっています。ストック型ビジネスを拡大させてきたことが一つの要因ではないかと仮説を持っていますが、どうでしょうか?コロナ禍で郊外・地方への移住が進んだことも影響していると思いますが、深掘りしてみたいと思います。これだけの規模の会社なので成長率は高くないですが、きっちりと伸ばしていること、利益率、ROEが改善傾向にあるのは評価したいポイントです。
 
なお、前述の通り当社はビジネス領域が分散されているため、各セグメント毎の売上構成比と営業利益率(22.1期実績)を以下に書いておきます。今後の成長のキモは国際事業をいかに伸ばせるかだと考えています。
 
  • 不動産フィー:売上構成比(22.5%)、利益率(8.6%)
  • 国際:売上構成比(14.9%)、利益率(12.9%)
  • 賃貸:売上構成比(14.8%)、利益率(14.5%)
  • 戸建:売上構成比(13.5%)、利益率(12.0%)
  • 建設・土木:売上構成比(10.4%)、利益率(5.6%)

財務

続いて貸借対照表(BS)、直近5年間の推移です。以下、構成比で表示。

マネックス証券より

 

負債・純資産(資金の調達サイド)から見ていきます。

  • 自己資本比率は50%前後で安定推移。好財務。
  • 流動負債31.0%。詳細見ると短期借入金7.8%、買入債務7.4%、未成工事受入金(いわゆる前受金)7.4%。
  • 固定負債14.7%。社債および長期借入金が10.9%。

 

資産(資金の運用サイド)です。

  • 流動資産60%台後半で推移。流動比率(流動資産/流動負債×100)225.0%で短期的な支払能力は問題無し。
  • 現金預金と(分譲土地・建物が大部分を占める)棚卸資産の比率は多少振れ幅あり。恐らく受注状況によって上下するものと思われる。直近22.1期は現金預金18.4%、棚卸資産43%。直近2年と比較すると棚卸資産の比率が高い。
  • 有形固定資産は20%前後で推移(やや減少傾向)。

 

構成比で見ると直近5年ほとんど変わらず推移している様に見えます。以下は同業他社(本業が別セクターの旭化成(へーベルハウス)、パナ、トヨタは除きました)との比較です。

 

○積水ハウス

 自己資本(52.6%)棚卸資産(43.0%)、有形固定資産(19.3%)

○大和ハウス

 自己資本(36.6%)、棚卸資産(28.3%)、有形固定資産(35.7%)

○住友林業

 自己資本(37.7%)、棚卸資産(32.9%)、有形固定資産(14.0%)

○タマホーム

 自己資本(29.4%)、棚卸資産(38.6%)、有形固定資産(18.0%)

 

同業他社と比較して自己資本比率は高水準にあり安全性は高いと言えそうです(記載していませんが流動比率も高いです)。また、積水ハウスの棚卸資産の高さ、大和ハウスの有形固定資産の高さが目に付きます。深掘りできていませんが、大和ハウスは商業・事業施設の売上構成比が大きいことが要因でしょうか?

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの推移です。

マネックス証券より

 

  • 2008年を除き営業CFは安定してプラスで推移。
  • 投資CFはマイナス。有形固定資産の取得による支出が大部分を占める。
  • 過去推移から、フリーCFがマイナスの期は財務CFがプラスになる(借入を行っている)傾向にある。結果、一定の現金・現金等価物を維持している。

 

事業の性質上それなりの投資CF(有形固定資産の取得)が必要であることから一定の現金・現金等価物を維持していると言うことですかね。同業他社よりも高い財務安全性を維持しつつ(有報によると国内信用格付AAの維持を前提としている)、要時には借入による資金調達も行っている様に読み取れます。

株主還元

株主還元です。

マネックス証券より

 

中期的な平均配当性向40%以上を方針としています。単年の最終利益を基準とする訳ではないため安定配当が期待できます。併せて毎年ではないものの自社株買いもちょこちょこ行っており株主還元意識の高さも伺えます。

23.1期は11期連続増配(予想)となっており実績としても文句なしです。

まとめ

以下、独断と偏見による積水ハウスの評価です(★が多い方が好評価)。

成長性:★★★☆☆

収益性:★★☆☆☆

安定性:★★★☆☆

 

これだけの規模の会社なので成長率で見ると高くありませんが、長期的に業績を伸ばしていること、収益性を表す指標(利益率、ROE)が改善傾向にあることは評価できると思います。同業他社対比で財務安全性は高く、インカム銘柄としては安心して保有できそうです。

 

評価はちょっと辛目になりましたが、過去平均PERと比較しても割安感がありますし、配当利回り約4.5%の高配当です。更にレアな1月/7月決算銘柄でもあり、インカム目的であれば有力な投資先かと考えています。

 

以上、ご参考になりましたら幸いです。