今回はマルマエ(6264)の22.8期本決算レビューです。
マルマエについて
マルマエ(6264)は、主に真空パーツの製造・販売を行う会社です。半導体・液晶製造装置の心臓部を支える製品が主力。主要顧客は自動車の懸架ばねで世界シェア1位の日本発条、半導体製造装置で世界シェア4位の東京エレクトロン(Wikipedia調べ)、いずれも世界に通用するグローバル企業。鹿児島県に本社・主要製造拠点を置きつつ、海外でも通用するメーカーに製品を供給している「ものづくりニッポン」、そして地方企業の鑑ですね。半導体を中心とする成長市場において、資本力を活かした積極的な設備投資・人員増(=生産能力増強)により、シェア拡大が続いています。
マルマエ_2022年8月期決算 補足資料より
同社は一度、リーマンショック時に経営危機に陥っています。その後、事業再生ADR手続きをするに至っており、苦しい過去があります。事業再生ADR終結(15年)、東証2部(18年)、東証1部(19年)、直近は半導体市場の好調もあり二桁成長を続けておりV字回復と言った所。ですが、会社資料(直近の有価証券報告書、決算説明会資料、統合報告書)を読むと、その端々に当時の二の轍は踏まないと言う社長さんの強い意気込みを感じることができます。どの資料も非常に詳しく作り込まれていましたし、当時の失敗を踏まえた現在の事業の考え方、ROIC>WACCを明示されている当たり、経営に真剣に向き合われているんだろうなと好感を持てます。
ご興味ある方は以下URLからどうぞ。
22.8期本決算レビュー
本決算内容についてです。以下に会社資料を引用します。
マルマエ_2022年8月期決算 補足資料より
- 売上高+59.9%、営業利益+95.6%、最終利益+101.3%
- 営業利益率:27.5%(前年は22.5%)
- ROE:26.7%(前年は15.0%)
- 1株配当:48円(配当性向:33.7%)
前年からは大幅な増収増益。最終利益は約2倍になりました。
市場環境が好調で、受注高は前年比+47.2%、受注残高は同+45.0%増とこちらも積み上がっています。事業分野別の売上は以下の通り。いずれも好調に見えますが、決算短信には、FPD向けは期末にかけて停滞傾向が出始めたとの説明がありました。
- 半導体:63.0億円(+51.2%)
- FPD(液晶):15.4億円(+84.0%)
- その他(太陽発電装置):4.5億円(+164.7%)
営業利益率、ROEは高水準だった前年以上の数値。また決算発表と併せて期末配当の増配発表があり、素晴らしい1年となりました。お疲れ様でした。
23.8期見通し
続いて23.8期の業績見通しです。
- 売上高+1.3%、営業利益-28.9%、最終利益-33.9%
- 1株配当:36円(配当性向:37.9%)
同社主力の半導体分野の市場環境は、スマホやPC等の最終需要鈍化を受けて装置市場も減速、1Qは好調ながら2~3Qにかけて停滞が続く見通し。
ただし一定の需要が見込まれる消耗品を主力とする同社にとっては売上の大きな落ち込みは無いとの見通しで微増収。利益面については、償却費負担および労務費の増加により利益率が低下、二ケタ減益となる予想。なお、今期の利益低下については中計(~2025年)想定内との記載がありました。
1株配当は配当性向35%の方針に従い36円の予想。22.8期からは減配の予想となってしまいました。
以上、通期見通しおよび配当予想が弱気だったこともあり決算発表の翌日には株価はガッツリ下げました。
まとめ
以上、マルマエの22.8期本決算まとめです。
- 22.8期は大幅な増収増益、最終利益は対前年で約2倍に。期末配当を増配。
- 23.8期見通しは微増収も二ケタ減益予想、半導体市況の減速と償却費負担および労務費増を織り込む
- 決算発表を受けて株価は大幅下落
以上、最後までご覧頂き有難うございました。
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