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【銘柄分析】ショーボンドHD(1414)

 

ショーボンドHD(1414)の銘柄分析です。

9/28に出された最新の有価証券報告書をもとに情報をアップデートしました。読者の皆様のご参考になれば幸いです。

 

ボチボチ更新中の銘柄分析は以下にまとめています。

www.loveyuyu-dividend.com

 

ショーボンドHDについて

まずは事業内容、投資指標など簡単に。

  • 橋梁や道路などインフラ補修工事の専業(建設業)
  • 公共性の高いビジネスで主要顧客は国土交通省、地方自治体、高速道路会社など
  • 株価:5,920円(23.11.10終値)
  • 時価総額:3,359億円
  • PER:23.4倍(過去平均PER:25.9倍)
  • 配当利回り:2.16%

 

構造物メンテナンス専業の会社です。同社HPの「造らない建設会社」と言う表現が同社ビジネスの特徴をよく表しています。社名は、前身の昭和工業が開発したコンクリート用接着剤「ショーボンド」に由来しています。製品名がそのまま社名になったパターンですね。

主要顧客は国土交通省、地方自治体、高速道路会社(NEXCOなど)となっており、公共性が高く生活に欠かせないサービスを提供している「なくてはならない会社」です。内需メインのため為替や対外関係(特に米中)の影響を受けにくく、構造物のメンテナンス(補修・修繕)は定期的に必要であるため安定した収益が見込める(ストック性あり)ことから、景気に左右されにくいディフェンシブな側面があると思われます。さらに「防災」や「国土強靭化」と言った国の政策も後押ししており、今後も事業環境は良好で、「国策に売りなし」の格言を地で行く銘柄と言えます。

メンテナンス、公共事業、生活インフラ、内需、国策の後押し。安定成長を好む投資家が好きそうなキーワードがたっぷり入った銘柄です。

業績

まずは業績から見ていきます。以下は損益計算書(PL)の推移です。

マネックス証券より

続いて利益率とROEの推移です。

マネックス証券より

 

受注高、売上高、受注残高の推移です。前回記事では触れませんでしたが、建設業の当社業績を見る際には重要な数値ですので新たに追加しました。

ショーボンドHD 2023年6月期決算説明資料より

 

業績の特徴は以下の通り。

  • 売上、利益とも長期的に安定した伸び。
  • 時期によって受注高は凸凹している。ただし長期で見ると受注高、売上高、受注残ともに右肩上がり。2023年期末では年間売上と同等レベルの受注残を確保。
  • 直近5年の年平均成長率(CAGR)は、売上7.1%、営業利益10.9%、最終利益12.0%。72の法則に当てはめると、この成長が今後も続くと仮定して6年後には最終利益は2倍になる計算。
  • 営業利益率21.6%、ROE13.4%と稼ぐ力も優秀。緩やかながら長期的に良化傾向にあるのも良い。
 
業績は公共事業投資の多寡に左右される側面はあるでしょうが、堅調に伸びています。業績推移、稼ぐ力ともに他の建設業者と比較するとかなり優秀な部類です。スーパーゼネコン各社とのコスト構造比較は以下の通りですが、ショーボンドHDの原価率の低さ(粗利益率の高さ)が際立ちます。
 
  • ショーボンドHD:原価率(72.0%)、販管費率(6.4%)
  • 鹿島建設:原価率(88.8%)、販管費率(6.0%)
  • 清水建設:原価率(91.7%)、販管費率(5.5%)
  • 大林組:原価率(89.1%)、販管費率(6.2%)
  • 大成建設:原価率(91.0%)、販管費率(5.7%)
 
粗利益率の高さは付加価値の高さ。粗利益率を高くできることで高い営業利益率を確保できていると言うことですね。「造らない建設会社」の特徴がコスト構造にもよく表れているのではないかと思います。

財務

続いて貸借対照表(BS)、直近5年間の推移です。以下、構成比で表示。

マネックス証券より

 

負債・純資産(資金の調達サイド)から見ていきます。

  • 自己資本比率は80%以上で安定推移。
  • 有利子負債ゼロ(=無借金経営)

 

資産(資金の運用サイド)です。

  • 資産の中で最も多いのが売上債権で全体の50.4%。昨年よりやや増加。同社ビジネスの性質に起因するものだが、国や地方自治体、高速道路会社を主要顧客とすることから回収不能リスクは低いと思われる。
  • 有形固定資産は12.3%。スーパーゼネコン各社(だいたい20%以上)と比較すると低水準に抑えられている。
  • 投資・その他の資産はここ5年で減少傾向(21.8%⇒11.3%)。政策保有株式の売却を進めていることが理由。

 

自己資本が分厚く典型的な好財務企業です。機械・装置、工具・器具などの有形固定資産はほとんど保有しておらず、「持たざる経営」を実践していると言えます。資本政策として政策保有株式の売却を公言しており、資本効率の改善も期待できます。着実な利益成長に加え、株式売却で得た資金が積極的な株主還元の原資と言えそうです。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの推移です。

マネックス証券より

 

  • 営業CFは安定してプラスで推移。
  • 直近で投資CFがプラスになっている所は政策保有株式の売却によるもの。
  • 財務CFはマイナス。配当金の支払い、自己株式の取得による支出がほとんど。

 

CFも安定しています。メンテナンスを専業としているためか、大型の設備投資は必要なく、投資CFは有価証券の取得・売却による動きがメインです。特に直近は政策保有株式の売却を進めており、投資CFがプラスになっている年もあります。配当金の支払い、自己株式の取得(=株主還元)が大半を占める財務CFのマイナスが直近では大きくなっていますね。

株主還元

株主還元です。

マネックス証券より

 

配当性向50%以上、自社株買いを合わせた総還元性向75%以上を維持する方針。利益の着実な積み上げと政策保有株式の売却により得たキャッシュが積極的な株主還元の源泉と言えそうです。15期連続増配と実績は文句なし。3年間で100億円の自社株買いを公言。

 

(個人的に最近凝っている)増配率は過去5年の年平均で15.2%。72の法則に当てはめると、今後もこのペースで増配が続くと仮定して4.7年後には配当が2倍になる計算。素晴らしい!

まとめ

以下、独断と偏見によるショーボンドHDの評価です(★が多い方が好評価)。

成長性:★★★☆☆

収益性:★★★★☆

安定性:★★★★☆

 

これと言った穴が無く長期投資に適した優良銘柄と思います。強いて穴を挙げるとすると業績が公共事業投資に左右される側面があること、飛躍的な(大化け的な)成長は期待しづらいことでしょうか。最終利益のCAGR12%と優秀にもかかわらず成長性を★3としたのはそのためです。とは言え、国策の後押しもあり、今後も安定成長が期待できるのではないかと思います。

 

株価の方は1年前から上がっていません。過去平均PER25.9倍に対して予想PER23.4倍と割安水準と見ています。直近(24.6期1Q)の決算を見ても受注は順調に積み上がっている様ですので、個人的には買い時ではないかと。

 

知らんけど🤪

 

以上、ご参考になりましたら幸いです。