はじめに
本業や遊びに忙しくなかなかブログ更新できていませんが、自分の勉強のために引き続き決算レビューを書いていきたいと思います。8月に入って3月決算銘柄の1Q決算、12月決算銘柄の2Q決算が続々発表されていますが、決算発表を受けて思いのほか上に下に大きく動く銘柄も見受けられます。自分が好決算と思っているのにもかかわらず売られた(またはそんなに上がらなかった)場合は買いのチャンスかもしれません。とりあえず、個別株を触るなら保有株の決算チェックはしっかりとしておきたい所ですね。
当ブログでも保有株の決算レビューを書いていきます。何よりも自分のために。決算発表の前に「前回どんなこと書いたっけな?」と当時の分析と自分なりの受け止めを振り返るのに便利ですね。
今回は明豊ファシリティワークス(1717)の本決算レビューです。
明豊ファシリティワークスについて
明豊ファシリティワークス(1717)は、オフィス・ビル移転、新築、改修などのプロジェクトにおける建築発注者向けの支援事業(=コンストラクション・マネジメント、CM)が主力。独立系では唯一の上々企業です。数年前まではビジネスモデル(受注方式)の転換期にあり、売上は年々減少していましたが、最終利益とEPSは長期的に増加トレンドにあります。9期連続増配と素晴らしく、高収益(営業利益率:20.3%、ROE:14.8%)かつ利益の年平均成長率も10%程度とまずまずです。働き方改革、DX、脱炭素と言った長期潮流にも合致すると考えています。PER13.1倍(8/10終値ベース)で割安成長株の位置付けで少数ながら保有しています。配当性向を引き上げての高配当化は個人的に歓迎ではないものの、準主力ぐらいまでには買い増しを考えています。
なお、ここ数年の売上減は、同社ビジネスモデル(受注方式)、即ち以下に示すようなアットリスクCMからピュアCMへの転換が進んだことだと過去に説明がありました。
明豊ファシリティワークス「2020年度 決算説明会資料」より
契約形態(請負、準委任)の違い等は置いておいて、
- (マネジメントフィーを含む)完成工事高を売上計上するのがアットリスクCM
- マネジメントフィーのみを売上計上するのがピュアCM
です。
よって、完成工事原価を上乗せされたアットリスクCMの方が売上高は高くなります(粗利益ベースでは概ね同じになる)。よって、後述する「受注粗利益」が顧客ニーズをより反映した指標と言え、同社も収益の伸びを測る指標としている様です。因みに、ピュアCMとアットリスクCMについて解説された上記スライドはFY20のものであり、FY21以降の資料には掲載がありませんでした。直近はほとんどをピュアCMとして受注していることから削除されたのかもしれません(過去の有報を見れば推移を確認できるのでしょうが、そこまでできていません)。売上高が下げ止まっている様に見えるのもそのためでしょうか?
東証スタンダード市場上場と言うことで地味な存在ですが、実は高年収企業です。東洋経済のランキングでは何と51位!平均年齢はやや高めですが、すごいですね。テレワークやDXの先進企業でもあります。きっと優秀な社員さんが多数在籍しているんでしょうね。優秀な社員が自分(株主)のために働いてくれると言うのも株式投資の魅力かなと思います。個別株に投資していると、より強くそれを感じることができますよね。
東洋経済の記事(平均年収ランキング)は以下です。
平均年収「全国トップ500社」最新ランキング | 賃金・生涯給料ランキング | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)
22.3期本決算レビュー
さて23.3期1Q決算の概要です。
同社説明資料から以下PLです。
明豊ファシリティワークス「2022年度 第1四半期 決算説明会資料」より
営業収益+4.8%、営業利益+27.5%、最終利益+26.7%
増収、二桁増益のスタート。
前回(22.3期本決算)の決算短信では建設・設備投資、民間投資が弱含んで推移したことによる受注時期の遅れが影響して最終減益での着地となった旨読み取れましたので、今回はその遅れの分がオンされたと言うことでしょうか?同社資料を読む限り、要因に関する記載は見当たりませんが、まあ順調な滑り出しとなりました。
決算説明資料には、
発注者における建設投資の意思決定が難しくなる中で、社会的にCMへの期待が高まり、CM業界における当社認知度が向上したことで、受注粗利益は過去最高を更新しました。 同社「決算説明会資料」より
と書かれています。
なお、「受注粗利益」とは同社が収益の伸びを管理するための社内指標で、顧客との守秘義務の関係で開示されていません。ただこれが過去最高な訳ですから、経営は好調と言って良さそうです。
数字的に控え目だった前期本決算レビューで「決算短信(業績数値)で見る以上に経営は好調と見ています。」と書きましたが、数字としても表れてきてくれました。
23.3期業績見通し
続いて、今期の業績見通しです。
明豊ファシリティワークス「2021年度 決算説明会資料」より
営業収益+5.6%、営業利益±0%、最終利益−1.0%
EPS:52.19円、配当:29円(配当性向55.6%)
好調なスタートですが、増収微減益で変更なし。引き続き控え目予想です。
要因として、
体制強化による人件費増やDX推進による費用増のほかに、社会情勢の変化によって試行中のプロジェクトが一時中断になるリスク等を保守的に織り込み・・・
同社「決算説明会資料」より
となっており、外部環境については引き続き慎重に見ている様です。
期中での上方修正を期待したい所です。1株配当は1円増配の29円で10期連続増配を予定。
今期のトピックスとしては、新たに立ち上げたDX支援事業が売上1,900万円と規模は小さい(因みに、主力のCM事業は売上6億円規模)ものの前年同期比で311.8%増と大きく伸びていること。社員の生産性向上を目的とした自社開発システムの提供などによる働き方改革支援が中心ですが、テレワーク先進企業である同社の強みが活かせそうです。官公庁、地方自治体、大学、企業など幅広い顧客から引き合いもある様で長期目線で期待したいと思っています。
まとめ
明豊ファシリティワークスの22.3期本決算まとめです。
- 増収、二桁増益の滑り出し、収益の伸びを管理する社内指標(数値は非開示)である受注粗利益は過去最高
- 通期見通しはプロジェクト中止リスク等を保守的に織り込み微減益の予想
- DX支援(働き方改革)は順調な立ち上がりか?
あまり人気が無いのか、今の株価(683円)で配当利回り4%です。引き続き、コツコツ買い増していきたいと思います。
以上、最後までご覧頂き有難うございました。
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